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若手従業員が職場に感じるマッチとミスマッチ その1

おひさしぶりです。大学も新学期が始まりました。研究に加えて授業・学務にエフォートを割きます。

それに伴い、どうしてもブログの更新頻度が下がります。ご容赦ください。

さて、私は若手従業員が勤務先に感じるマッチとミスマッチというテーマで、ゼミに所属する学生と共に研究を進めてきました。
2020年の11月に若手社員の人にアンケート行いました。その結果を皆さんと共有します。

背景 -若者のミスマッチ離職

労働政策研究・研修機構の「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成 Ⅱ」報告書によれば、3年以内に離職した男性で、離職理由の上位は


「自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため」
「仕事がうまくできず自信を失ったため」

 

やりたい仕事とは異なるから辞めたが、上位に来るのは残念ですよね。お互いに、きちんと情報交換をしてギャップを埋めておけば、防げるミスマッチです。

企業側は、仕事の内容をあらかじめ伝え、学生側は、自分に合う仕事ができるかを丁寧に調べなきゃいけない。どちらにも非があります。

女性を見てみると


「労働時間・休日・休暇の条件が良くなかったため」
「人間関係が良くなかったため」

が上位にあがっています。
女性は、仕事と生活との調和と周囲との関係性が、離職のトリガーになりそうです。

 

「若者雇用促進法」というのがあります。同法では、若者と企業とのマッチングを後押しするために、さまざまな職場情報を若者に提供してくださいね、といった事柄を会社にお願い(および義務付け)をしています。


直近で労働関係法令の違反があった企業は、ハローワークで一定期間、新卒求人を受け付けてもらえないというペナルティーもあります。


あとは、ユースエール認定企業という制度を作り、若者の採用・育成、情報公開に積極的な会社に、厚労省がお墨付きを与えています。 認定を受けると、ハロワで積極的に企業PRをしてもらえたり、認定企業限定の説明会に参加できる等のメリットがあります。

 

アンケート調査の概要

主に入社に2,3年目の社員を対象としたインターネット・アンケート行いました。回答者数は302人、平均年齢は24.5歳です。
最終学歴は、大学卒の人が75%を占めています。院卒を含めると8割をこえます。
新卒入社で今、2年目の人が48%、3年目が20.5%。また、中途採用入社で1年目という人が8.6%。つまり、ほとんどが3年以内と理解してください。
東京在住者が最多ですが、全国に回答者がいます。


学生時代の周囲とのかかわりと、入職後のマッチ

学生時代の経験と現勤務先でのマッチが、どう関係しているのかを、以下の2パターンについて調べました。

 

1)学生時代、周囲と関わった経験が、勤め先でのマッチに影響する


2)学生時代、リーダーを務めた経験が、勤め先でのマッチに影響する

 

これがフレームワークです。

結論を先に書くと、
上記の1),2)どちらの経験も、マッチングを高めていました。

 

以下、アンケート票の質問設計です。

学生時代の経験は、4段階で答えてもらいました。
つまり、周囲と関わった経験が
「なかった」、「あまりなかった」、「ややあった」、「あった」
です。

また別の質問で、あなたは現在の勤め先とのマッチ(合致)をどの程度感じていますか?と尋ねます。複数の項目を用意しておきます。


こちらも、各項目について
「一致していない(ミスマッチ)」から「一致している(マッチ)」までの4点尺度で回答します。

 

両者のクロス集計により、学生時代の経験の違いによる、マッチの違いを明らかにします。

結果の詳細は次回の記事でお話しします。

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社会人が経営学を学ぶ意義とは?

本日は、神戸大学金井壽宏先生の著書を援用して、記事を書きたいと思います。

内容のベースは金井先生のお考え、信念にあり、それを私なりにアレンジしていきます。

経営学を学んで意味あるの?

金井先生は、大人が経営学を学ぶ意義を論ずる文脈のなかで、持論の勧めを説きます。

社会人が経営学を学ぶ意義のひとつ。それは、確固たる持論(自論)を持てるようになることだと仰います。(経営ではなく、経営学です)

経営学のテキストを読むとすぐに、先人たちの理論(セオリー)が並んでいることに気づきます。人の管理に関係する最初の方だけでも、科学的管理法、人間関係論、X理論Y理論・・・。多くの場合、太字になっていたり、アンダーラインが引かれていたりしますよね。

こうした経営学の理論を学ぶ際、昔の人が考えた理論なんてもう時代遅れだし、役に立たないよね、という見方をされる方がいらっしゃいます。

学生たちも時折、歴史を学ぶような感覚になっている子がいます。

しかし、金井先生によれば、そうではありません。

現代にまで残って教科書に載っているようなもの、原典がなんども読み返されるものは、古今東西に通じる普遍性、多くのケースに応用できる一般性があります。

居酒屋で酒を飲みながら、自分だけの感覚に頼ってしゃべる経営談義(?)会社談義(?)とは違うのです。

自分だけの自論

それに加えて、先人の業績を土台にして、私たちが自分だけの理論を持つための道しるべにできます。

とはいえ、いろいろな理論を学んで知識をつけても、自分事に落とし込めないものは納得できないでしょう。

もし、あなたがビジネスパーソンとして豊富な経験を積んでこられた方ならば、なおさらです。仕事の進め方、職場の作り方、モチベーションの高め方、部下との接し方、どれをとっても一家言あると思います。

ですから、納得できない理論、同意できない理論を、本心で実践してみたいとはなかなか思えません。

なので、いろいろと紹介される中でも自分の腹落ちするものや、「こんな経験あるある」と感じたものを探すために学ぶというスタンスでよいと思います。

それが自分の自論(「持論」ではなく、あえて「自論」と書く)になります。

 自分事に落とし込めたセオリーは自分の経験知と合体して、強大なパワーを持ちます。

ゆえに、自己調整のためにつかうことができます。

つまり、モチベーションで言えば

「自分は、一体どういう条件がそろった時に重い腰を上げるのか?」

「以前はあれほどまでにやる気に満ち溢れていたのに、今は全くやる気が出ないのか?」

といった一種のスランプに、混乱せずに、冷静に対処することができます。

精神の安定につながり、心の拠り所ができるわけです。

他人の自論を理解する

そのつぎに、周りの人たちがどういう原理で動いているのかを知ることも大事になります。これは、他人の自論を知ることです。

自分の自論と他人の自論を合わせると、自分独自の持論が完成します。

 

さて、周囲の人たちの自論まで理解できれば、自分の部下・上司の言動に理由付けができます。

「どうして部下は、仕事に身が入っていないのか?」

「どうしたら上司を説得させられるのか?」

クエスチョンマークだらけだった謎が、他人の自論を理解すれば、周囲を見る目も違ってくるはずです。

他人よりも他人を客観的に分析できれば、一緒に仕事をする仲間が低空飛行から抜け出せないとき、気持ちを上向かせるお手伝いができるかも。

とくに、管理職の適齢期になったら、周りの人たちがどういう原理で動いているのかを、理解するよう努めるべきだと思います。

 

自分の自論と他人の自論を両方理解して自分の持論を作り上げてください。

そのためにも、先人たち(巨人)の肩の上に乗りましょう。今まで見えなかったものが見えてくるに違いありません。

 

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おまけ

私自身も同じようなことを感じることがあります。たとえば、自分としては、講義を丹念に構成している!と思っていても、どうしたって、やる気がある学生とやる気のない学生に分かれます。

一見、理解ができません。が、そもそも各々の自論は多種多様。やる気を刺激するスイッチは、人それぞれで違うのは当たり前なんだ、とすっと心を鎮めることにしています。

 

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日本の職場はダイバーシティ・マネジメントにどう向き合えばよいのか? 番外編

ダイバーシティとリーダーシップ

さて、本日は「ダイバーシティ・マネジメントへの向き合い方」の番外編として、リーダーシップについて述べたいと思います。

 ※これまでの記事も含め、内容は、共同研究者とのインタビュー調査の結果を踏まえています。

 

 以前の記事へはこちらからどうぞ!

hatarako.hatenablog.jp

 

早速ですが、日本のある多国籍企業B社でインタビューさせていただいた人事部の方は、一時期、アメリカの拠点で人事の責任者をされていました。

米国赴任中に、衝撃的だった出来事のひとつが、日本人と比べた米国人のリーダーシップの高さだったそうです。

アメリカ駐在中に、日本人がいかにリーダーシップがないかを痛感させられた」と語ってくださいました。

また、国内の職場やリーダーシップ研修では優秀だと評価を受ける社員でも、アメリカにいくと全くリーダーシップを発揮できないと嘆きます。

アメリカ人リーダーと日本人リーダーの最も大きな違いは何ですか?」

私たちのそんな問いかけにこう答えてくれました。

アメリカ人リーダーは就任初日に、ミッションステートメントを言います。つまり、部下全員を集めて、自らの価値観や目標・期日を宣言して、コミットメントします。またメンバーにもコミットメントを求めます。」

「多くの典型的な日本人リーダーは、紋切り型のあいさつだけして自室にこもってしまう。そしてだいたいは、誰か部下が訪ねてくるまで待っています。」

※ミッションステートメントについて詳しく知りたい方は、スティーブン・コヴィー博士著『7つの習慣-成功には原則があった!』を参照ください。

 

典型的な日本企業に勤務していた私も、この発言には納得でき、思わずうなずいてしまいました。

もちろん、すべてのリーダーが上記のようだとは思いませんし、近年は大学でリーダーシップ教育が導入されるくらい、日本人のリーダー像も変革期にあるような気が致します。

でも、日本人の感覚で言うと、リーダーがミッションステートメントを表明するとか、自分から現場へおりていくというのはまだまだ馴染みがないですよね。

ドラマで描かれるお偉いさんも、だいたいは、高価な調度品に囲まれた自室でふんぞり返っているし。

ちなみに、B社とは別の日本企業(多国籍企業)で聞き取り調査をした際も、はじめに結論をいうアメリカ人上司のやり方が日本人には新鮮だったという声がありました。

 

アメリカ型リーダーと日本型リーダー、どちらが良いのだろう?気になる論点ですが、今日は言及しないことにしましょう。 

 日本人のリーダーシップ不足の原因は何か?

さて、インタビューさせてもらった方の見立てでは、日本人のリーダーシップ不足の原因は2つある。解説とともに紹介します。

1)ほぼ単一の文化のなかで、群衆をまとめていくリーダーを必要としなかった

 2018年にロシアで行われたサッカーワールドカップ(w杯)で優勝したフランス。そのときの代表選手23名中15名が、アフリカにルーツを持つ選手でした。アフリカからフランスへ移民したとか、片方の親がアフリカ出身だとかの理由です。

こうした多様なルーツを持つ、ダイバーシティの高いチームをひとつにまとめるリーダーは、ものすごく苦労しただろうと想像できます。

しかし、日本人はほぼ単一民族アイデンティティが同一なのでもともとまとまりがあった。ゆえに、それほどリーダーシップを発揮する場面がなかったというわけです。

 

2)経済が安定成長するなか、ビジネスが予定調和で進んでいた。だから、リーダーを必要としなかった。

 B社の注文は大口顧客に支えられていて、品質と納期を守ってさえすれば、口をあけているだけで注文が入ってきた、という言い方をされていました。

多少の違いはあれど、日本経済が着実に成長していた時代は多くの業界が似た状況だったと言えるでしょう。

恵まれていた一方で、日々の業務の中でリーダーシップを育て、鍛える過酷な状況が生まれづらかったというわけです。

 

ところが、ご存知のように現代は、ビジネスの先読みができません。世界のライバルは低価格・高品質をウリに、これまで日本企業が得意とした市場を席巻しています。一寸先は闇です。船のかじ取り役が必要になってきました。

 

それでは、日本企業がリーダーを育成するにはどうしたらよいのでしょうか?

このトピックについては、別の記事で紹介したいと思います。

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